公正証書と借金返済
融資を受ける際、金融業者が公正証書を作成したがる理由とは?公正証書がある場合とない場合とでは何がどう違うのか?公正証書を知らないうちに作成されていないだろうか?借金をする側にとって、公正証書の存在が脅威となるケースがあります。
公正証書を作成する理由とは?
公正証書とは何か?という説明を省き、早速内容に入ります。
金融業者から借金をする、つまり融資を受ける上で、公正証書を必要とする最大の理由は簡単です。債務者(借金した人)が、万一借金返済できなくなったときに、裁判の手続きをすることなく、借金をした人の給料や財産の差し押さえなどの処置をすばやく強制執行ができることが可能なため、公正証書を作成するのです。もちろん債務者が滞りなく借金の返済しているならば問題はありません。しかしながら借金返済を遅延することで、突然、強制執行される可能性は否定できません。
このように公正証書は遺言や離婚の問題などで、度々登場しますが、それだけではなく借金返済の問題にも大きく関係するものなのです。
公正証書作成が必要ないはずが?
金融業者は融資をする際に債務者(借金する人)に対し、説明もなしに無断で公正証書を作成することはできません。公正証書の作成準備に取り掛かる際、融資を受ける債務者(借金をする人)へ説明し同意を受けているはずです。
債務者にきちんとした説明も同意を得ることなく、公正証書の作成を準備する金融業者も存在するようだとの意見がありますが、融資を受ける側(債務者)からの見解ですので、真偽のほどは分かりません。
融資をする側(債権者)からみれば、最初から公正証書を作成する前提の融資として説明している場合もあり、ただ単にお金を借りたい一心で、公正証書を作成するという条件を聞き漏らしている可能性も考えられます。どちらにしましても、債権者と債務者双方の条件に合致する取引をすればよいだけです。
印鑑証明書を渡したなら
公正証書を作成する前提の融資の場合、あなたが直接、融資に関する公正証書を見たことが無くても、あなたが印鑑証明書を金融業者へ提出したなら、あなたが作成したつもりが無くても、公正証書が作成されている可能性を否定できません。
なぜなら、債務者本人が公正証書を作成しなくとも、委任状に金融業者や社員、その関係者が実印を押して、債務者の印鑑証明書を添付することで公正証書を作成することが可能だからです。
書類作成は慎重に
公正証書作成に必要な書類は一般的に、実印、印鑑登録証明書、本人証明が可能な書類、契約書の原案が必要です。また連帯保証人が存在する場合は、連帯保証人の分も必要になります。
原則として、公正証書を作成する場合は、当事者本人が公正役場へ行き、手続きをすることになっていますが、遺言証書や贈与以外のケースでは、繰り返しになりますが、当事者の代理人でも許可されます。代理人は弁護士や司法書士でなくても構いません。公正証書の原本は20年間、公証役場で保管され、当事者ように正本、謄本が交付されます。
公正証書の作成を条件に融資を受ける場合、慎重になることはもちろんのことですが、印鑑証明書の提出を条件に融資を受ける場合も含めて慎重に決断してください。返済が可能か否かを十分に検討した上で、融資を受けるようにしましょう。
もし分からない点や不明な点があれば、債権者と債務者でお互いに話し合うか、トラブルが大きくなる前に弁護士に相談するなどしてください。
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