従業員の借金を会社が返済?
従業員の借金を会社が代わりに返済するように金融業者から依頼された場合でも、会社は従業員の代わりに借金を返済する義務は生じるのか?または給料から借金を差し引くなど一切の関与をしないほうが良いのか?
保証人になることの制限
従業員の借金(債務)に対して、会社が何らかの保証人になっている場合と保証人になっていない場合とでは話が違ってきます。また従業員が現在も会社に在籍しているか否かによっても対処法が異なります。通常は会社が従業員の何らかの保証人になっていることは稀だと思います。また上司と部下との間だけでなく従業員同士でさえも保証人になることを社則で禁じている(または禁じていなくても会社に迷惑をかけないなどの規制)があると思います。
賃貸契約の保証人は連帯保証人
保証人といいましても、さまざまですが、最もトラブルを引き起こすものは金銭関係。言うまでもないですが、金銭関係はただの保証人ではなく連帯保証人です。特に友人・知人が借金する際に、会社が禁止や規制をしていなくても、自ら進んで他人の借金の連帯保証人になる人は、殆どいないことでしょう。
ただ忘れがちなことがあります。それはアパートやマンションなどの賃貸契約の保証人です。最近は居住の賃貸契約で保証人不要の契約もありますが、通常は保証人が必要となります。この保証人も連帯保証人ですので注意が必要です。
会社が保証人になっている場合
従業員の保証人になっている場合は、原則として、支払いの義務が生じますが、細かい点で注意点が必要なので弁護士にご相談されることが良いと思います。
以下、会社が従業員の借金の保証人になっていない前提として書きます。
勤務先への圧力がある場合
従業員の借金返済の催促に対し、勤務先への圧力があるケースを想定されるかもしれません。しかしながら金融業者から勤務先や会社に対し、従業員の借金返済について圧力を掛ける行為は、現在は殆ど無いと思われます。
万一、あまりにひどい行為が続く場合は不退去罪や業務妨害罪に該当する可能性も考えられますので弁護士にご相談されることをお薦めします。
従業員の給料の扱い
従業員(またはかつての従業員)の債務(借金)に対して保証人になっていないのであれば、会社とは全く関係ないことです。債権者(お金を貸した側)が金融業者か否かに関らず、法人であっても個人であっても従業員(またはかつての従業員)の借金との関係ありません。よって従業員へ支払う給料(賃金)は従業者本人に渡すものであり、従業員が行方をくらましたとか、従業員へ支払うべき給料が残っていたとしても、その賃金から借金分を勝手に天引きすることは出来ません。
ただし、金融業者が差し押さえなどの訴えを裁判所へおこすことで、裁判所から直接給料差し押さえなどの命が下った場合は、給料および退職金などを借金の返済分へ充当することになります。
最新(更新)記事
認印の借用書 - 実印ではなく認印の借用書が無効となるわけではないですが、借用書の効力として、万一に備え、例えば後々のトラブルで裁判になるなどを考慮し、実印の方が望ましいと思われます。なお認印を実印と偽ることは別の問題を生じることもあります。
特定調停は費用が安い? - 債務整理の手段のひとつとして、特定調停は一般的に、費用が安くてメリットが多いと言われていますが、本当でしょうか?債権者が譲歩しない可能性を加味しつつ、調停が成立しないケース、破産に移行する可能性も考慮しておきましょう。
個人再生のメリットとは - 債務整理の方法のひとつである個人再生とは?借金返済を軽減するために債務整理の手段として個人再生を選ぶメリットとデメリットとは?それとも自己破産を債務整理の手段として選ぶべきなのか?
総量規制と借金 - キャッシングやローンが対象となる総量規制について。金融機関から送られてきた年収を証明する書類で限度額を引き下げられ、これ以上借金が出来なくなる可能性がありますが、総量規制の対象外となるケースもあります。
借金の相続を放棄するべきか - 遺産相続で資産・財産を相続し、借金のような負債の相続を放棄する方法はあるのだろうか?それとも資産・財産だけでなく負債も相続しなければならないのか?資産・財産の状況が分からないとき、相続放棄するとしたときの手続きと注意点とは?
高額医療費と借金 - 健康や生命を維持するための医療費の支払いをローンなどの借金をすることなく、対処する方法について。自己負担額を超えた高額医療費や保険適応外の治療費を準備するための保険や貯蓄があれば問題ないのですが、お金が無くとも何とか対処したいものです。
アドオン方式と実質年利(実質年率)に注意しよう - 実質年利(実質年率)とアドオン方式の金利は利息額が全く違います。同じものと誤解すると多額の返済をすることがあるので注意が必要です。現在、実質年利(実質年率)が義務付けられているのでアドオン方式だけの金利表示はないと思います。
ブラックリストから情報を抹消できるか? - ブラックリストとはどういうものなのか?ブラックリストから情報を抹消できるのか?そもそもブラックリストは存在するのだろうか?あなたが借金返済をした過去の情報とはどのように記録され利用されるのか?
公正証書と借金返済 - 融資を受ける際、金融業者が公正証書を作成したがる理由とは?公正証書がある場合とない場合とでは何がどう違うのか?公正証書を知らないうちに作成されていないだろうか?借金をする側にとって、公正証書の存在が脅威となるケースがあります。
クレジットカードは借金だけじゃない - クレジットカードはショッピングやキャッシング、ローンなどお金を借りる目的にしか利用しないのはもったいないです。クレジットカードを持つことの利点、海外であえてキャッシングする理由についても書いています。
分類
お金を出費することなく借金をスムーズに返済し、問題を解決する方法や手段が注目されています。たとえ多重債務者であっても、債務整理の相談を無料で実施できるような場所も方法もあります。
貯金などを解約したり、生活を切り詰めて節約したりするような返済を中心とした生活が必要なくなるかもしれません。借金が返済計画どおりに進まない方も順調な方も、今の生活や方法に問題点がないか?今一度立ち止まり見直すことが大切です。
資金調達やローンなどお金を借りるときに知っておきたい知恵と情報、注意すべきこと、検討すべきこと。住宅、教育、自動車など個人的な借り入れから会社の融資まで、新規または追加で借金することを前提とした話になります。
注目記事
プロフィール
- 仕事の関係上、借金の問題やトラブルなど、債権債務に携わることが多いです。
- 好きなこと
料理、食べ歩き、散策、旅行。 - 好きな言葉
『この世で生まれたトラブルは
この世で解決できる』
辛いときや苦しいとき、私はいつもこの言葉を思い出しています。